「あのさー明日は休みなんだよねー」
リンが暇そうにクッションに横になる。
「そうか。よかったな」
アキラは新しい資格を取ろうと勉強中だ。
ここ数日眠っていない。
アキラはあまり眠らなくても大丈夫だ。
リンがむくれる。
「アキラさー、最近冷たくない?最後に一緒に寝たの何日ぶりか解ってる?」
「昨日だろ?」
つまり今朝まで一緒に寝ていたという事になる。
しかしリンが言いたいのはそんな事ではない。
「だー!アキラのゲキニブ!一緒に寝たってのはセックスの事だよ!」
今度はアキラが牛乳を吹く番だった。


【物足りない】


むせた牛乳を処理しながら、アキラはリンの顔をまじまじと見る。
どこからどう見ても正統派の美形で、イメージ的には白馬の王子様だ。
でも甘えん坊で不器用なのはアキラが一番よく知っている、はずだ。
「……お前なぁ。せっかくのその顔が無駄になるぞ」
「その時はアキラに責任取ってもらうからいいよ」
――コイツは。
アキラは思わず頭を抱えたくなった。
このさわやかな顔で『セックス』なんて単語が出てくるなど周りの少女が聞いたら卒倒しそうだ。
しかもそれも男同士なのだ。
アキラには偏見はないが、一般常識としてそういったものが偏見を受けることは知っている。
「なーんか最近物足りないんだよねー」
ここ数日していないとはいえ、リンのこの言い方には腹が立った。
「おっと!」
気付くと、リンを床のフローリングに押し倒していた。
「試してみるか?」
「これくらいの煽りで本気になるなんて、アキラって結構かわいいじゃん」
リンはご満悦だ。
「夢中にさせてよね」


シャツを脱がせようとするも上手くいかない。
仕方がないので捲って胸元にむしゃぶりつく。
それだけでリンは嬉しそうに顔を赤らめる。
「……物足りないって言ってたよな?俺の本気を見せてやろうか?」
「うん、た、のし……み」
最初からよがるリンに苦笑を隠し切れない。
最初から刺激が欲しくて仕方がなかったのだろう。
紅く膨れた乳首を押してやると、何とも言えない嬌声が漏れだしてくる。
それとズボンに隠されたリン自身も膨張してくる。
「ん……ふうぅぅん!」
「これでも物足りないか?」
アキラは乳首に噛みつきながら尋ねる。
徐々に刺激を与えるたびに締りがよくなる。
「そ……そんな事な、い」
リンが必死になって快楽に耐えている姿はそれだけでクルものがある。
アキラはムキになってシャツでリンを拘束した。
これではリンの量手は使えない。
その事に不安を覚えたのかますます自身を膨張させてゆく。
フローリングの床が冷たくて心地よいらしく、リンは床に身体をすり合わせた。
身体が熱くて仕方がないらしい。
「アキラァ……物足りないよう」
リンの声がかすれている。
これでも絶頂をこらえているらしい。
もう入れてもいい頃だとアキラは判断した
そして半ば無理矢理身体が火照るリンに挿入した。


「いやー言ってみるもんだね」
行為を終えて、リンは一冊の雑誌を取り出した。
アキラが掃除した時にはなかったものだからきっとリンが買ってきたのだろう。
「『同性愛の愛の確かめ方』……お前こんなの気にしてたのか?」
「だって、せっかくアキラと出会えたんだよ?この縁を馬鹿にしちゃあいけないでしょ」
あたかも当然のように言うので、アキラもついペースに巻き込まれそうになる。
でもこれでこそリンだ。
昔からのマイペースぶりをただ流せてしまうアキラだった。







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2014年 6月7日 莊野りす

アキリンエロでした。
アキラはエロ話には乗らなそうだし、下ネタにも乗らなそうなので難しいキャラです。
アキリンだと気にならないのに、不思議!アキリンルートだと二人とも幸せになれそうで何よりです。



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