一目見て解った。
ケイスケはアキラに憧れてると。
アキラをヒーローとして慕っていると。
それは面白くもあり、ある種、つまらない不快なものだった。


【ターゲット・ロックオン】


「面白いよねーケイスケって」
二人が去った後、リンは源泉に笑いかける。
その笑みには邪悪な面など見られない。
「まー面白いのが来たもんだなー」
源泉も口裏を合わせる。
どうもこのリンには心を許せないでいる。
「ケイスケって今時珍しいくらい慎重だよね」
「それはお前の度胸がずば抜けてんだろうよ」
「まーたまたー」
「あでっ」
リンが勢いよく源泉の背中を叩くと盛大にむせた。
「おっさんもいい加減タバコやめればー?」
涙目になりながら、源泉は不敵に笑う。
「なーに危険な遊びは大人の特権だ」
「じゃあバイバイ」
「どこに行くんだ?」
アキラとケイスケのいるホテル。ブタタグ足りなくて困ってたら助けよーってね」
「お前が?本当ならいいのにな」
「煩いよ」
それだけ言い残してリンはホテルに向かった。


ホテルでは案の定、ブタタグの事も知らないアキラたちは困っていた。
「まぁ今くらいの方が助けがいあるよね」
リンは手を振った。
「アキラ―ケイスケ―!こっちこっち!」
リンは全く臆せずに二人を呼んだ。
「お腹空いたでしょ?今日はおごったげる!だからこっちにおいでよ!」
リンの親切に甘える事にためらっていたアキラだが、腹の音が鳴ってからそれに甘える事にした。


「俺さあ、アキラの顔が好きなんだ」
ソリドをかじるアキラに向かってどんなことを言いだした。
黙っていないのはケイスケだ。
「アキラの顔って……そんなの本当のアキラ好きじゃないよ!」
「ははは……そんなんじゃないよ。ただ楽しいだけ。本当だよ?」
そんなリンの気配に押され、ケイスケは黙り込んだ。
――そうだよ、こんな楽しいことやめられるわけがないじゃない?
「アキラ、大丈夫?」
――ターゲット・ロックオンだよ、ケイスケ。
リンの楽しみはまだまだ終わらない。





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2014年 6月29日 莊野りず

ケイスケ→アキラ+リンです。
うちのサイトって暗いの話が多いので試しに息抜きの話を書いてみました。
ケイスケってリンからしてみれば絶好のいじりがいのある人なんじゃないでしょうか。
そんなリンが大好きです。



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