無分類30のお題 →TYPE2

4、警報




謎の男からトランクを預かった時に黒ずくめの男がやって来た。
仲を見たかと訊かれて、思わず見ていないと返した。
全てを射抜くような紅い瞳が印象的な男だった。
その時、アキラの中では警報が鳴り響いていた。


「〜で、こんな男を見たんだ」
ケイスケと共に今日はホテルで過ごそうと決めていた。
ちょうど源泉もいる事だし、何か知っているかもしれない。
「ああ、そいつはシキだな」
「シキ?」
するとこれまで難しい顔をしていたリンが口を開いた。
「滅多に出てこないレアモンスター。関わってもろくな事になんないよ」
その口調にはいつものリンらしくない有無を言わさぬ迫力のようなモノがあった。
「ま、お前さんらも下手に手を出さない方がいいぞ」
殺されたくなければな、なんて軽口を叩く始末で、結局そのシキについては聞けなかった。


翌朝、ホテルから出ようとするリンを目ざとく見つけたアキラは彼を止めた。
リンは昨日とは違って冷静そのもので、むしろ気まずいのはアキラの方だった。
「……どこに行くんだ?」
「なーにー?俺がどこ行くか気になるのー?まるで年頃の娘に対する父親じゃん」
いつもの調子のリンだ。
その事に安堵する。
「いや、言いたくないんならいいんだ。悪かったな、引き留めて」
「ホントだよ。俺の士気にも関わるんだから」
そう言って去っていく背中を、どうしてそのまま見送ってしまったのだろう。


その後はケイスケがラインを摂取し、大量虐殺を繰り広げた。
不適合で彼は死に、リンも行方は知れないと源泉の情報筋でもはっきりしない。
ただ、道を歩いていて当たった死体に、リンが下げていたAのタグが血を浴びた状態で引っかかっていた。
――ああ、やはりリンは……。
あの時の自分の警報を無視した自分自身を憎んでしまえば楽なのに。
そんな事ばかり頭から離れなかった。



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2015年 2月28日 莊野りず

もちろんリン大好きですv
男前で度胸もあって、五年後には美形に成長して……。
でもだからこそ痛い目にあわせてみたくなる矛盾。
全ては可愛すぎるリンが悪いんです(言い訳)!!




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