「愛してる」
ただ一言言っただけなのに、服や身体を血で汚したジーナローズはその囁きにうっとりとした。
彼女は愛に飢えていた。


【ジェネラルの兆し・4】


大広間には息をするものが誰もいない。
当たり前だレイジが全て殺したのだから。
どうして、そんな当たり前の言葉もジーナローズの口から出る事はなかった。
「私に、本当に愛をくれるの?」
レイジに抱きかかえられるように大広間から去ったジーナローズはそう口にした。
レイジは薄く笑ってジーナローズの寝室へ足を踏み入れた。


天蓋のついたベッドが目に付く。
ベッドの傍の小さな時計置き場はジーナローズの趣味だろう、アンティーク調の小物で統一されている。
「人間は――」
小さな声でそう言いかけたところをレイジの唇によって阻まれる。
舌が口内で暴れて、ジーナローズは苦しげな表情を見せた。
だがレイジはそんな事歯牙にもとめない。
「俺がそんな奴らの事忘れさせてやる」
そう宣言すると、レイジは彼女のドレスを脱がし始める。
ゆっくりと、脱がした場所にはキスを忘れない。
「あ……」
ジーナローズの切なげな声が寝室に漏れる。
ばさり、ばさりと音を立てて、脱がされた服が床に落ちる。
胸元が露になったあたりで、レイジはその動作を止める。
美しい肌を強く吸って証をつけていく。
彼女は自分のものだとでも言うように。
「ねえさん、ゆっくり味わって……」
レイジはフォレスターに作らせた液体を少し口に含むと、ゆっくりとジーナローズのそれに合わせる。
「んっ、レイ……ジ」
瞳が緩やかに閉じられる。
蝋を塗ったような白い肌が淡い桃色に染まっていく。
それはレイジがはじめて見る姉の顔だった。
うっとりとその顔に見とれつつ、露になった胸元に唇を寄せる。
手が彼女の乳房を鷲づかみにする。
そして巧みな舌使いでそこを変則的に舐めていく。
ぴちゃり、ぴちゃり――淫靡な音が空間を支配する。
空ろだったジーナローズの瞳に情欲が宿る。
「はあっ、レ……イジっ!」
彼女は我慢できないとでも言うように、レイジの履いているズボンを引っ張った。
ベルトがカチャカチャと音を鳴らす。
「俺も脱ぐから、姉さんも脱ごう?」
レイジは優しくそう言うと、ジーナローズの服――既に腰まで脱げているが――を全て脱がせた。
そして自分の上着を脱ぎ捨てた。
ジーナローズはゆっくりとレイジのベルトを取り、ズボンを下ろした。
レイジは横たわるジーナローズの上に乗ると彼女の髪飾りを取った。
空ろな瞳はレイジのそれを映した。
最初は軽く舌先だけでそれを舐める。
だが次第に口の奥まで咥え込んで呼吸が苦しくなるまで舐め続ける。
どこまでがフォレスターの薬の影響かは知らないけれど、これは単純に気持ち良い。
そろそろ終わりにしても良いだろう。
そう思ってジーナローズの口内からそれを引き抜く。
口角に唾液が溜まっているのも色っぽいと思う。
「姉さん……」
レイジはジーナローズの脚を抱え上げると、一気に濡れた場所を貫いた。


「気持ち良かった?」
レイジは裸で隣に眠るジーナローズに声をかけた。
彼女は満足そうに眠っている。
まさかこの姉にあれだけ積極的になってもらえるなんて思いもしなかった。
毎日二人きりでこんな生活をしていれば、いづれは彼女の心も身体も自分だけのものになるだろう。
それを想像するだけで楽しくて、レイジは暗く笑った。


レイジたち姉弟に尽くすものはもう誰もいない。
その皮肉のように、朽ちた謁見の間にある玉座は輝きを放っている。
レイジはそこに座るとそこから外を見渡してみる。
争いのない魔界はただ穏やかに緑が増えている。
魔王城が輝いていたのが遥か昔のように思えて、レイジは目を細めた。
いくら荒廃しようともレイジには関係ない。
ただ一人、姉であるジーナローズさえいればそれでいい。
今日もまた、レイジはジーナローズを愛する。
ジーナローズの記憶から人間という存在を消し去るために。


















_______________________________
2012年 9月8日 荘野りず

珍しく書いてみた、エロ(っぽい)話。
私が書くとどんなにシュチュエーションがエロくてもイマイチになってしまいます。
でもジーナローズ生存エンドって、正に「二人のために世界はあるの!」的エンドで好きですv


B/Mトップに戻る

inserted by FC2 system