その愛を証明せよ。
そう問われたらあなたはどうしますか?


レイジとジーナローズのそれぞれの部屋にこんな事が書かれたカードが置いてあった。
誰がいつの間に持ってきたのか、そんな事は不明だ。
レイジとジーナローズは顔を合わせるなり首を傾げた。
一体誰がこんなものを置いたのだろう。


【その愛を証明せよ】


「その愛……という事は、私たちが愛している対象への愛の証明、ということかしら?」
ジーナローズは人間たちの姿を想像しながら微笑んだ。
「そうかもな」
レイジも頷く。
「それなら簡単だわ。私は彼らになら何度でも殺されていいわ」
「姉上、頼むから自分の立場を考えて自重してくれよ」
レイジは頭に手をやった。
「……冗談よ」
とてもではないが冗談には聞こえなかったが、レイジはその言葉を飲み込んだ。
「俺は愛する者のためならなんだってする。神でさえも敵に回して戦ってもいい」
「レイジ、不謹慎よ」
今度はジーナロ―ズが窘める。
いつからこの弟はこんな風になってしまったのだろう。
昔はもっと信心深かった気がする。
その時、部屋をノックする音が聞こえた。
ここはジーナローズのいくつかある私室で、多くの場合ここにいることが多い。
「誰だ?」
少し前に不審な侵入を許してしまったレイジとしては用心にこしたことはない。
「オレですよ、ギルヴァイスです」
「あたしもいます!ヴィディアです」
この二人なら安心だ。
「よし入れ。ただし他の奴らに見られるなよ」
二人はしばらくしてからそっと扉を開けて入ってきた。
<「どうしたんですか?妙に用心深くなっちゃって」
ギルヴァイスはいつもの調子でジーナローズに話しかける。,br> 「それが……」
ジーナローズが言いづらそうにしているので、レイジが後を引き継いだ。
「謎のカードがあったんだ」
「謎のカード?」
ヴィディアが現物を見たいとレイジに申し出る。
レイジが無言でカードを見せると、ヴィディアは驚いたようにカードを強引に引き寄せた。
「どうしたんだよヴィディア?」
ギルヴァイスがヴィディアの肩を掴もうとしたが、間一髪で避けられた。
「こっ、これはラブカードじゃない!」
彼女は興奮気味にカードを見つめる。
レイジ、ジーナローズ、ギルヴァイスは声を揃えて尋ねた。
「ラブカード?」

「ええっ!」
ギルヴァイスが素っ頓狂な声を上げる。
そんな事になっては魔界は一大事だ。
「ヴィディア、このカードの効き目はどれくらいなんだ?どれくらい強いんだ?」
レイジはヴィディアの肩を掴み怖い顔をする。
「噂によると出所は大天使長メルディエズの魔力がこもっているから回避不可能だそうよ」
「そんな……」
ギルヴァイスが情けない声を出す。
「いや、天使の力が働いていようが何だろうが、俺がいる限り姉上を殺させえやしないさ」
レイジはジーナローズに向き直る。
「俺が守るから」
「ええ、ありがとう」
しかしこの時の約束はいざという時に愛する姉の言うことを聞いてしまうせいで実行することが出来なかった。
レイジの流した血の涙の跡は今も魔王城に残っている。






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2014年 月日 莊野りず

私は書くときに序盤だけ考えて、あとは流れに任せて書いているんですが、いい加減それもきつくなってきました。
何だよラブカードって!行き当たりばったりにもほどがある。
ヴィディアはおまじないとか好きそうなイメージなので説明役になってもらいました。
……一応レイジナですよね?



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