ジェネラル・テンペストことレイジ。
キリングダストことヴィディア。
この二人の強さは魔界でも、カルテットの次に有名だ。
その二人はよく背中合わせで戦う。
お互いに背中を任せられる相手はこの人しかいないとでも確信しているかのように。


【背中越しの体温】


傷病者キャンプから隠れ家に移ったレイジたちは、ここでの生活に慣れ始めていた。
知り合ったサファエルという天使とは熟考した末に別れることにした。
ただでさえ殺気立っている天使たちをこれ以上刺激したくなかったし、レイジの勘が何かを告げたからだ。
サファエルは最後まで納得しなかったが、身の危険について話してやったらしぶしぶ納得した。
これにはヴィディアは内心で安心した。
――レイジの背中はあたしが守る!たとえ回復役だからってレイジの背中は渡さないんだから!
「ヴィディア?どうしたんだ、ぼけっとして?」
「あ、ううん。なんでもない」
今でもレイジがサファエルを拒絶した時の事を考えると嬉しくなる。
『俺には背中を任せられる奴は二人もいらない』。
そう最後に言った。
記憶を失っても断片的には覚えていることもあるらしい。


復活直後のレイジは本当に危なかしかった。
剣の基本の持ち方すらなっていなかったし、戦術もまるで解っていなかった。
魔王城に志願してくる兵の方がまだマシに思えるくらい、それほどレイジは弱くなっていた。
>だが、ヴィディアとギルヴァイスが基本の戦術や護剣の基礎を教えただけで、劇的に強くなった。 そうヴィディアは感心した。
やがて元通り背中を任せられる相棒に戻った。
ヴィディアと共に真っ先に斬り込んでいく。
戦闘に関しては問題なくなったが、ヴィディアには他に気にしていることがあった。
ジーナローズの事だ。
まさかレイジがジーナローズの事を忘れる日が来るのかと疑うほど、綺麗さっぱり忘れていた。
しかし魔界各地を巡るたびにそこに残された彼女との思い出が蘇っているようで、ヴィディアは不安に駆られる。
――ジーナローズ様が復活したらあたしは?
その不安は日に日に大きくなっていった。


魔王城を奪還して、ジーナローズ復活の方法をレイジに説明し終えると、ヴィディアは謁見の間を去った。
「どうしたんだ?」
レイジの声がする。
「追いかけてやれよ」
これはギルヴァイスの声。
レイジは追いかけてきてくれた。
そしてヴィディアの想いを聞いてくれた。


背中越しの体温はやがて大きな絆になり、ヴィディアの想いを少しの間だけでも叶えてくれた。






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2014年 11月4日 莊野りず

ヴィディア→レイジでした。
ギルは基本頭脳労働担当だし、背中越しとなるとヴィディアしか思い浮かばなかったんです。
アベレアだと背中越しの体温は大人すぎるし。
というわけでヴィディア→レイジでの攻略でした。



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