ジーナローズの精神世界で、レイジは拒絶された。
王としての役割に疲れてしまったと言っていた。
レイジにはその苦悩は解らない。
なぜならレイジは王ではないからだ。


【気付けば隣に君がいた】


「……レイジ」
ギルヴァイスは言葉が見つからない。
あれだけ愛した実の姉だ、落ち込まないわけがない。
レイジは焦燥しきっていた。
「何をそんなに落ち込んでるのよ!」
ヴィディアの空気を読まない発言がレイジの耳に届く。
ギルヴァイスは窘めようとするが、彼女は聞く耳を持たない。
「……なんだと?」
レイジが暗い目をヴィディアに向ける。
ヴィディアはそれも構わずにレイジに言葉をかける。
「ジーナローズ様がいなくても、あたし達はやってこれたじゃない!レイジのバカ!」
ヴィディアは涙ぐんでいる。
「ヴィディア……」
この言葉に励まされたのか、レイジは顔を上げた。


「……思えばお前たちだけはどんな時でもついてきてくれたんだよな」
レイジがぼそりと呟く。
その呟きに反応するように、ギルヴァイスも頷く。
「そりゃあ幼馴染だからな」
ヴィディアもうんうんと頷く。
「そうよ。あたしたちはいつでもレイジと一緒よ。人間たちなんて目じゃないんだから!」
人間たちから取り戻した魔王城でそんな事を思う。
レイジには少なくとも幼馴染が二人いる。 ……一人ではない。
しかし、ジーナローズはどうだ。
彼女には身近にいるものは誰もいない。
その孤独を思うと、一概に彼女を責めることが出来ない。
レイジは隣にいる幼馴染たちを眺める。
ギルヴァイスもヴィディアも人間軍との戦いでくたくただ。
それでも、生きている。
気付けば隣に君がいた。
レイジはその事のありがたさに頭が下がる思いだった。








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2014年 11月2日 莊野りず

『君』はギルとヴィディアです。
幼馴染って萌えなんです。ドラクエ5でもビアンカ派です。
レイジはなんだかんだ言って幼馴染に甘えている部分があると思う。



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