「リリスちゃん、何描いてるの?」
キロタがリリスに近づくと、彼女は真剣な顔でお絵かきに夢中だ。
スケッチブックには純白の花嫁の姿。
「あのね、リリスね、おんなになるの!」
キロタはミルクを飲んでいたミルクを噴き出した。


【おんなになる】


「ちょ、ちょっと待ってリリスちゃん!大人の女性になるのには色々と大変で……」
「なに、キロタ?なにがいいたいかわからないよ」
「つまり、純潔ではなくなるという事だよ?」
「ジュンケツ?なにそれ?」
このままでは会話は堂々巡りだ。
ちょうど通りかかったカインに助けを求める。
「カインさん、大人の女性って色々と大変ですよね?」
カインはしばらく考え込んでいたが、はっきりとよく解らないと返事をした。br> 「大体、ボクに大人の女性、なんて無理だよ」
キロタから見ても年上には好かれるであろうカインを見ていると不安になる。
「……そうですよね。カインさんに女性の話なんて早すぎました」
キロタはため息をつく。
そもそもリリスの言うおんなとは誰の事を差しているのだろう。
スティエンかシリアか、それともダリアか。
その答えによってキロタの回答も違ってくる。
「リリスちゃんはそんなおんなの人になりたいの?」
するとリリスは笑顔でルカみたいな人と答えた。
「……え、ルカさんですか?」
キロタから見て、ルカの評価は高いとは言えない。
悪魔だし、しかも『冷血のルカ』という二つ名まであるくらいだ。
相当悪いことをしているに違いない。
そんな大人になるのだけは止めなければ。
キロタの中の正義感が大きくなる。
そこへちょうどルカとザイオンが帰ってきた。
「ただいま」
ルカは最近血色が悪い。
それを気遣ったのか酒ではなくミルクを進めるダリア。
――きっと悪魔の中でも残忍だから殺し足りないんだ!
その時のキロタはそう思っていた。


キボートスに戻ってからというもの、ルカの体調は悪くなるばかりだった。
仕舞にはリリスの血と髄を吸えとザイオンに促される始末だ。
これにはキロタも反対した。
いたいけな命をそう簡単に散らせて溜まるものか!
しかし事態はキロタが思っていた反対へと進んだ。
ルカがリリスに翼を提供したのだ。
しかも悪魔にはあるまじきくらいに慈愛に満ちていた。
リリスは最後の最後まで移植を嫌がったが、ルカの頼みだと思うと涙をのんで提供を受けた。
ルカは決して弱くなどなかった。
それはリリスも同じだろう。
武器もバトンから鞭へと変わったリリスは血色も良く、キロタをどきりとさせた。
リリスがおんなになるのはこれからだ。
しかし心配はないだろう。
ルカという名の悪魔の守護神がいるのだから。





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2014年 5月29日 莊野りず

キロタとリリスの話でした。
お題から十八禁だと思われた方がいたらやったね!
キロタはリリスの事が気になってると思うんですよ!あくまで個人的にですが。
リリスがおんなになるっていったらルカの翼をもらった時だと思うんです。
ザイオン涙目ですが。



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