リリスもキロタも、どれだけ背伸びをしても子供は子供。
子供だからこそ逆に大人が恥ずかしがることも平気でしたりする。
それは子供の大多数がそうなだけで、リリスもキロタも悪くない。


【ちゅ。】


花売りの仕事を終えてダリア・ビアーに戻ってきたシリアを真っ先に迎えたのはリリスだった。
「おかえりなさい!シリアお姉ちゃん!」
リリスは満面の笑みでシリアに抱き付く。
抱き付かれたシリアもどこか楽しげだ。
「ただいま、リリス。今日は何をして遊んでいたのですか?」
「えへへ……。今日はキロタとおままごとしたの!リリスがおかあさん役なんだよ!」
そう言って、リリスは茶碗にご飯を盛り付ける仕草をする。
他人が見ては、奇妙な踊りにしか見えないであろうその動きを、シリアは「本当のお母さんみたいね」と褒めた。
慕う相手に褒められて喜ばない子供はいないだろう。
「シリアお姉ちゃん、ちゅー」
リリスはシリアの頬に軽く唇を寄せる。
本当に子供のキスで、シリアはくすぐったい。
「じゃあリリスにも、ちゅ」
シリアはリリスの額に優しく口づけた。
リリスは満足してダリア・ビアーの奥、サイファーパンクの本部へと走って行った。


一人で静かに本を読んでいたキロタの元にリリスのドタバタした足音が聞こえた。
部屋が静かな分、物音は良く響く。
「キロタ、みーつけた!」
「リリスちゃん?」
キロタは本から顔を上げた。
やけにリリスは上機嫌。
シリアが戻ってきたのだろうとキロタは何となく察した。
「リリスね、シリアお姉ちゃんとちゅーしたの!」
その言葉にキロタは想像を逞しくする。
「ちゅー、って、まさかキス?僕らには早いよ!」 「はやくないよ。好きならちゅーすべきなの。キロタもスティエンにちゅーしないの?」
「しっ……しないよ!だって僕らは姉弟なんだよ!?」
「何でしないの?ちゅーはアイジョウヒョウゲンだってシリアお姉ちゃんが言ってたよ?」
この二人の言い分は微妙に食い違っている。
リリスの言う『ちゅー』は家族などへの愛情表現の唇以外の場所へのキス。
キロタが想像しているのはカップルがするような、少なくともキロタ達子供よりは『大人な関係の男女がするキス』の事。
「ねぇ、リリスキロタともちゅーしたい!」
その一言にぎょっとする。
自分よりはるかに幼く見えるこの少女が自分と大人な関係になろうというのか。
「ぼっ、僕らにはまだ早いよ、ね?」
「いやっ!するったらするの!」
リリスは一瞬の隙をついてキロタの頬にキスした。
あまりにも突然であまりにも素早かったので、何が起こったのか数秒呆然とした。
リリスは悪戯が成功したかのようににっこり笑っている。
そういう意味のちゅーかとキロタは納得した。
「そういう事なら僕も、リリスちゃんに、ちゅ」
キロタの方が身長が高いため、リリスの額に唇が触れる。
実はこれだけでもキロタは心臓がバクバク言っている。
それを知ってか知らずか、リリスはもっととキロタにちゅーをねだるのだった。






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2014年 12月26日 莊野りず

キロタとリリスでほのぼのちゅ。
このお題見た時真っ先にこの二人が思い浮かびました。
リリスが徹底して鈍いのはキロタより先に教団に捕まっていたため知識を吸収する時間がなかったから、かなーなんて思っているので、若干原作より幼めです。
その分キロタはしっかりさせてるつもりですが、彼も所詮は子供ですからね。でもリリスへの想いは友達以上ではあると思ってます。



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