横恋慕10のお題 トモリンで攻略

10、諦められるわけがない


リンの事が好きだと自覚してから早数ヶ月。
トモユキは未だに告白できないでいた。


リンはきっとカズイが好きなんだろうな。
そんな事を思ったのはリンの事が好きだと思ってからすぐの事だった。
リンがカズイを見る目はその他大勢を見る時とは全然違う。
 何というか……熱っぽいのだ。
カズイはリンの事をどう思っているのだろう。
どうとも思っていなかったら自分にもまだチャンスがあるかもしれない。
そんなわずかな期待をしてカズイに訊いてみた。
 「お前はリンの事をどう思ってるんだ?」
カズイはきょとんとしている。
 「どうって……大切な仲間。ちょっと心配なリーダーってところかな」
どう考えても仲間としか思っていない。
 一応念のために質問をした。
 「それだけか?もっと他にないか?」
カズイは考えるそぶりをしてから答えた。
 「一緒にいて飽きない。良くも悪くも」
それだけらしい。
トモユキはカズイに礼を言って別れた。


それからトモユキはリンの元に行った。
 夜行性なリンはこの時間まで起きてこない。
いつもは自分で起きるまで放っておくが、今日は別だ。
リンに告白するつもりなのだ。
ドアをノックするとすでに起きているらしく、誰?と訊かれた。
 「俺だよ」
 少し興奮しているのかもしれない。
リンの声がこころなしか甘えているように聞こえる。
 「その声、トモユキか」
てっきり入れと言われるものだと思ったが、今日のリンは違った。
しばらくするとチームで揃えた服に着替えたリンが出てきた。
 「なんだよ。なにか用か?」
 寝起きのリンは少し機嫌が悪い。
 柔らかそうな金の髪が一本だけはねている。
 「あのよ、リン。俺はお前が好きなんだ」
リンは不機嫌そうにトモユキの顔を見つめた。
 「ふーん」
 「ふーんって、それだけかよ!」
トモユキは思わずツッコミを入れた。
 本人としては勇気をふりしぼったのに、この反応はないだろう。
 「だって俺はカズイが好きだし。お前に好かれても嬉しくない」
この言葉にトモユキはカズイに訊いた事を言った。
すなわち、恋愛としてリンを見ていないと。
 「だから俺を好きになれよ。そうすれば両想いだ」
リンは嫌悪を露わにした。
 「……お前みたいなやつと付き合うくらいなら一人身でいい」
それだけ言って、リンはトモユキの前から去った。
 残されたトモユキはひとりごちた。
 「諦められるわけがないだろ……こんなに好きなのに」
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 2013年 1月19日 荘野りず

 トモユキ、リンに振られるの巻。
カズイはノンケの方が片思い好き的には美味しいです。
トモユキは結局はリンの事が好きそう。



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