愛のシチュエーション10のお題 カップリング色々で攻略

1、第一印象(源リン)


第一印象は大切だ。
そうリンが思うのは目の前にいる男を見てのことだ。
くたびれた中年で、情報屋を名乗る怪しい男。
 名は源泉というらしい。
 無精髭がうっとおしい。
この男がリンに有益な情報をくれるとは思わない。


 夜になると廃ビルでリンは眠る。
このビルのことを教えてくれたのが源泉だ。
 最初はただの中年だと思っていたのに、意外と抜け目ないらしい。
 朝になり、目を覚ましたリンはクラブへと向かった。


 「オッサン、絵タグについての情報はないの?」
リンはカクテルを啜りながら源泉に訊ねた。
 彼の情報のおかげで絵タグは順調に集まっている。
けれどこんなにゆっくりしていては誰かに先を越されてしまう。
ないとは思うが、誰かが先にシキを倒してしまうかもしれない。
それだけは絶対に阻止しなければいけない。
 「それにしてもな、お前はなんで王に挑むんだ?麻薬王の座に興味があるのか?」
 源泉は手帳に挟まっているメモに目を走らせながら訊いてきた。
 「おお、これだ」
 目当てのものを見つけたらしい。
 源泉はリンにメモを手渡した。
 「サンキュ、オッサン!」
リンは礼を言ってその場を去ろうとしたが、源泉にウエストバッグを掴まれてしまう。
 「なんだよオッサン。礼は言っただろ?」
 源泉は真剣な顔をした。
 軽いノリだったリンはかしこまる。
 「お前は王にさえ挑めれば後はどうでもいいのか?そんなこっちゃ俺は行かせるわけにはいかねぇ」
 思っていることを言い当てられて、何も言えないリンは源泉に連れられ、教会に来た。


 夕方になると雨が降り出した。
 教会の中で源泉はロウソクに火をつけた。
その火が唯一の灯りだ。
それに照らされた源泉の顔は眉間に皺がよっている。
あまり機嫌がよくない証だ。
 「リン、俺はお前が心配だ。王に挑んだら殺されるかもしれないんだぞ?やり残した事とかあるだろ?」
 「そんなのない」
リンは即答した。
 源泉が煙草に火をつけた。
 一口煙を吸って源泉はリンの頬に触れた。
 柔らかくて手触りがいい。
 「オッサン、お人よしもいいかげんにしろよ。俺はアイツを殺すためにここに来たんだ!」
 「……やっぱり用があるのは王一人か」
リンはしまったという顔をしている。
 源泉はもう一口煙を吸う。
リンが顔をしかめながら煙草に対して文句を言った。
 「匂いつくから嫌いなんだよ。さっさと消せよ」
 教会の椅子に煙草を押し付けて消した。
 再びリンの頬を撫でる。
 「死に急ぐな。お前はまだ若いんだ。やろうと思えばなんでも出来る」
いつになく真剣な顔で言った。
 頬を撫でていた手はリンの頭に行き着く。
いつものように乱暴に頭を撫でた。
 「ガキあつかいするなよ」
 「そう言ってるうちはまだまだ子供だ」
 源泉はリンを抱きしめた。
 「俺の子供も生きてればお前くらいだった。……だから死に急ぐな」
その眼差しに圧倒された。
 静かな教会の中でリンは源泉に抱きしめられていた。
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 2013年 1月26日 荘野りず

源リン。
この二人は普段から夫婦みたいな会話してるのでこんな感じ。<ケイスケ曰く
 リンは源泉には一応感謝してると思います。 



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