無分類30のお題 →TYPE2

2、分散


  

青い髪の男にアキラが連れ去られてもうずいぶん経つ。
リンは短気ながらも頑張って我慢してきたし、ケイスケの心配はかなりのものだろう。
「あ〜もう!いい加減我慢も限界だっつの!」
「リンも心配だよね!俺も……」
「こんなところで黙っていられるか!探しに行こう、分散してさ」
「それって危なくない?俺らに何かあったら……」
「生温いこと言ってんじゃねーよ!ここでアキラを見失ったら、一生見つかんねーし!」
リンはアキラとケイスケよりもイグラ歴は長い。
そのリンが言うのだから、きっとそうなのだろう。
「ケイスケは道に隠れながら進めば?」
「うん、そうする」
こうして二人は分散することにした。
それがリンにとって最悪の結果を招くことも知らずに。


ドッグタグを揺らしながら、リンは迷いなく進む。
迷ったらオシマイだから。
今、最も気をつけるべきは処刑人たちだった。
彼らは人をゴミのように殺すハイエナだ。
リンには腕に覚えはあるものの、正面から彼らとぶつかるのはどうしても避けたい。
それだけ彼らとは実力が違う。
「……っつたく!あの青髪めぇ!」
むしゃくしゃしながら屯す連中を一周し、大通りを駆ける。
「げ」
そこにいたのは処刑人の二人。
「ん〜?今コイツゲ〜って言わなかったか?」
「言ったなぁ……なにか後ろ暗い事情でもあるのかなぁ?」
――最悪だ。
「いいや、何でもないでーす!」
それだけ言って逃げようとしたが、後の祭り。
首筋を掴まれ、身動きが取れない。
じたばたと手足を動かすが、蹴り一つ無理だ。
仕方がなくスティレットを取り出すと、処刑人たちから歓声が上がった。
「おう、そー来なくちゃな!」
「ジジイ、赤ずきんちゃんをいたぶるのってた〜のしそ〜」
一対二、それも相手はかなりの強者。
なんとか逃げる道を探せば……。
「甘いんだよ」
逃げようとした道にはキリヲが立ちふさがっていた。
「離せよ!」
いつの間にやら背後に回っていたグンジに背中を取られてしまう。
「は〜い!お城にちょっこー」
そのままリンは道端を引きずられた。


「ん?」
それは彼の直感だった。
よく見ると弟が道を引きずられているではないか。
「おい」
いつもハイエナと呼んでいるだけに、二人の反応は素早かった。
「あん?」
「なんだよシキティー?」
「そいつを離してやれ」
上目遣いに自分を見る弟に、彼は気づいたのか。
リンは命乞いするつもりなどなかった。
どうせならアルビトロの元へ連れて行かれる方がマシだった。
「どうせなら理性の欠片も残らんほどに可愛がってやれ」
まさかそんな言葉が出るとは思わなかった処刑人とリンはしばし呆然とした。
しかし次の瞬間には言葉通りリンの服を脱がせた。
突然始まった宴に、欲求不満を拗らせた処刑人たちはノリノリで乗るのだった。
その後、シキがどこで何をしているのかは誰も知らない。

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2015年 2月28日 莊野りず

投げっぱなしエンドですみません。
シキリン前提(もどき)処刑人です。
……果して需要はどこにあるのか、ぶっちゃけ私得ネタです。
あの凛々しいリンこそ落してみたい今日この頃。




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