愛のシチュエーション10のお題 カップリング色々で攻略

5、浮気疑惑(アキリン)


最近リンの様子がおかしい。
アキラがそう思ったのはリンの態度。
いつもは携帯電話なんて気にしないのに、最近はアキラに見られるのを恐れている。
なんだろう、なんだか嫌な感じがする。


 「あ、もうこんな時間か。バイト行かなきゃ」
テレビを見ていたリンがかけ時計に目をやると、もう夜の七時。
アキラのバイトの時間と重なっている。
「リンのバイトって昼だろ?」
 「んー欲しいものがあってさ。バイト増やしてんの」
リンは何でもなさそうに言うが、アキラは怪しいと思った。
いつもならアレが欲しいコレが欲しいとアキラに強請るのに。
そんな事を考えているとリンが不審気にアキラの方を見た。
 「アキラ?早くしないとバイトに遅れるよ」
すでに準備万端のリンが部屋の鍵を振っている。
それ以上考えるのを止めて、アキラは部屋を出た。


 「アキラ?何やってんだ!」
 「え?」
ファミリーレストランのキッチン。
それがアキラのバイトだった。
マニュアルにあわせて食材を調理するだけの簡単な仕事だ。
その簡単な仕事でミスをしてしまった。
 今日だけで三回目だ。
 「まったく。頼むぜ」
 店長がやれやれとキッチンを監督している。
これ以上はミスできない。
その次の瞬間にまたミスをしてしまい、今日はもう帰れと言われてしまった。


ファミレスからの帰り道。
ホテルが立ち並ぶ一角で、アキラは目撃してしまった。
 源泉とリンがホテルに入っていくところを。
 相変わらず源泉は人のよさそうな顔をしていた。
リンはいつも異常に青白く見える。
――リンはバイトだと嘘をついて源泉と会っているのかもしれない。
 事実、リンは源泉と一緒にホテルに入った。


 翌日。
アキラは目を覚ましたばかりのリンに問いかけた。
 「リン、俺は見たんだ」
リンはのんきに欠伸をしている。
 「ふぁああ……何を?」
 「お前がオッサンとホテルに入っていくところをだ!」
 語気を強める。
これにはリンも驚いたらしい。
アキラ自身、他人に興味を持たなかった自分がこれだけ変わるとは思っていなかった。
 「俺はオッサンみたいに楽しい話題もないし、無愛想だ。けどリンを好きな気持ちだけは誰にも負けない」
 「アキラ……」
リンは嬉しそうだ。
 「アキラ、俺嬉しい。俺もアキラの事大好き!同じ気持ちだったなんてね。アキラったら全然言わないんだもん」
 「どういう事だ?お前はオッサンが好きなんじゃないのか?」
リンは何かいいたそうだ。
 「何でオッサンなの。確かにオッサンの手伝いのバイトで一緒にいたけどさ」
そういえばなぜリンがバイトを増やしたのか訊いてない。
 「あれ?やっぱりアキラ忘れてる?あと三日で俺とアキラが出会った記念日じゃん!」
 覚えていなかった。
でも考えてみたらそうかもしれない。
 嬉しいが、黙っていたリンも悪い。
 「……リン、今夜は寝かせないからな」
アキラがそう言うと、リンは煽るように笑った。
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 2013年 4月14日 荘野りず

 ラブラブ甘めのアキリン。
 源リンも匂わせてみました。



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