愛のシチュエーション10のお題 カップリング色々で攻略

8、おとまり(カズリン)


「お前んちってどんな感じ?」
 「えー普通。つまんねーよ」
 嫌な話題が出た。
リンはチューハイを飲むスピードを上げた。
 「リンの家はどんな感じなんだ?」
 隣にいたカズイが訊いてきた。


 自室の掃除を始めた。
 部屋に無頓着なリンがそんな事をするので母親が怪訝な顔をした。
 「友達が遊びに来るんだ」
そう言うと母親は嬉しそうに買い物に出かけた。
 今日はすき焼きか、バーベキューか。
とにかく肉料理になるのは間違いない。
 彼女はリンくらいの年ごろの少年は肉が好きだと思っている。
リンも肉が好きなので何も言わない。
 今日は兄のシキも仕事が休みらしく家にいる。
 「なんだ?お前が部屋の掃除なんて珍しいな」
シキも少し驚いている。
 「友達が遊びに来るんだ」
 母親に言ったことをシキにも言った。
シキは一度も友達を家に連れてきたことがない。
 作ろうとしないのか、出来ないのか。
たぶん前者だ。
シキはいつも一人でいることを好んだから。
 「どんな奴なんだ?」
シキは興味があるらしい。
 「え?どんなって言われても。いい奴だよ」
 「フン」
 面白くなさそうだ。
カズイが来るまであと一時間。
 一緒に見ようと言った星の本を本棚から出した。


チャイムが鳴った。
 大声を出さないのはカズイらしい。
トモユキあたりならイライラして怒鳴るだろう。
 「開いてるよ」
ドアホンに出てそう言うと、ドアを開ける音がした。
 「お邪魔します」
 靴を脱ぐときちんと並べた。
 「リンだけか?家族は?」
 「母親は買い物。兄貴もいるけど、部屋にいるみたい」
 「挨拶しようと思ったんだけどな」
カズイはスイカを持ってきていた。
 手土産を用意するところはカズイらしい。
 「冷やしておいて後で食べようぜ」
リンはカズイを自室に招き入れた。


 「リンは星がホントに好きなんだな」
 星の写真集を見てカズイはそう言った。
 「カズイだって星好きだろ?宇宙飛行士になりたいくらいだし」
 星の話で盛り上がった。
ふと、カズイが机の上の本棚に目を向けた。
 「あれって卒業アルバム?見たい」
 幼稚舎のものだ。 確か屋根裏にしまったはずなのになぜか部屋にある。
 「ダメダメ。恥ずかしい」
でもカズイの手がアルバムをつかんでいた。
 「これがリンか。可愛い」
 可愛いと言われることには慣れているが、カズイに言われると照れる。
 「今日のおとまりを楽しみにしてたんだ。アルバム全部見せてくれ」
カズイがにやりと笑う。
 嬉し恥ずかしのお泊り会はまだ始まったばかりだ。

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 2013年 9月4日 莊野りず

 リンのお宅訪問。
 割とあっさりカズイに泊まりに行ってもらおうと決めました。
アルバム鑑賞はお泊りに外せないイベントです。



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