愛のシチュエーション10のお題 カップリング色々で攻略
9、星空(カズリン)
夜空を見上げると無数の星が輝いている。
あの星はいつから輝いているのだろうか。
気の遠くなるほどの時間を輝き続ける星はリンのカズイへの思いにも少し似ている。
「リン」
報復に行こうとするリンをカズイが呼び止める。
「……何?」
腰のスティレットが風に揺れる。
「もうやめろよ。リンに血は似合わない」
風に髪を遊ばせる。
リンの金髪は風を含んで揺れる。
「やると決めたら徹底的にやる。じゃなきゃ舐められる」
その荒々しさはまさに雄猫。
ペスカ・コシカを大きくした頭、コートの姿だ。
「カズイも来いよ。一緒に潰そう」
リンの差し出す手を取らない。
ただ上を見上げた。
「……星」
リンもつられて上を向く。
そこには無数の星があった。
「Bl@sterで殴り合ってる時も星はこうして輝いてる。それって凄いことじゃないか?」
カズイはいつもこうして星を見ていたのか。
報復に出かけている時間がもったいなくなった。
「……そうだな」
いつしかリンは時間があると空を見上げるようになった。
「今日も楽勝!俺らより強いチームなんてないんじゃねーの?」
祝杯を挙げた時、トモユキがそんなことを言った。
皆も口に出さないだけで、同じことを思っている。
「なぁリン。今日も報復に行こうぜ」
「今日はやめとく。用事があるんだ」
珍しくリンが乗り気ではない。
「どうしたんだ?調子でも悪いのか?」
「だから用事があるんだって」
リンがいないとなると不安になる奴がいる。
「なあトモユキ、今日はやめとかね?」
「リンがいないってだけでビビるのか」
トモユキは不満そうだが、過半数が行かないと言い出したのでやめる事にした。
「行かなくていいのか?」
仲間に秘密の場所でカズイと待ち合わせた。
報復を断った場にカズイがいないことは気づかれなかった。
「……星、見よう」
カズイと一緒に星を見るのが楽しみになっていた。
一見同じだが、よく見ると毎日少しづつ違っている。
「俺はさ、あの星の一つに行ってみたい」
「え?」
唐突な一言だった。
「……宇宙飛行士になりたいってこと?意外」
一つ違うだけのカズイが意外と子供っぽい夢を持っていると聞いて、内心愉快だった。
でもカズイを笑えない。
リンには夢なんてない。
だから夢を語るカズイが眩しく映った。
「俺も連れてけよ」
気づいたらそんな事を言っていた。
気恥ずかしくなったが、カズイは一緒に行こうと言ってくれた。
「約束だ」
星の下で指切りをした。
子供っぽい行為だったが、本気だった。
それから星空を見上げるたびカズイを思い出すようになった。
それがリンの初恋だった。
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2013年 12月6日 莊野りず
星空と言ったらカズイでしょう!
リンは恋は知らなかったと思うんです。
カズイが初恋の人というのがマイ設定。