無分類30のお題 →TYPE1

19、うつぶせ(アキラ→リン)


  

「あら、いらっしゃい」
夜遅く、もう深夜だ。
若者たちは夜こそが自分たちの時間。
我が物顔でここに集う彼らの姿にはもう慣れた。
――ケイスケ。
ホテルであんな事なんか言うつもりなんてなかった。
感情が爆発した、というのはあのような事を言うのだろうか?
いつもの自分らしくなかった。
あんなのはただの八つ当たりじゃないか!
思わず壁に拳をめり込ませると、数人がこちらを向いた。
すぐにその視線逸れたのだが、
「しっ!」
マスターがすかさず人差し指を口元に当てた。
「え?」
彼は顎をしゃくってカウンターを示した。
そこには余程疲れたのか、穏やかに寝息を立てるリンがいた。
悪いことをした、いう小さな罪悪感。
「……いつも、というか、今まではこんな事なかったのよ。何か心当たりはある?」
親しいんでしょ?と小声で耳元でささやかれたのには少々恐怖を感じた。
「……」
――リン。
赤の他人の俺とケイスケのために、なぜここまでしてくれるのか。
それが気になる。
別にタグをやるなんて一言も……。
うつぶせで瞳をとしたリンの目元が少しだけ光っているような気がしたのは、多分錯覚だろう。
「何があったのよ?ねぇって?!」
――ありがとう。



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2015年 5月23日 莊野りず

リンは仲間が大事だし、好みの顔したアキラのダチであるところのケイスケは心配だったんじゃないでしょうかね。
それでアキラ以上に必死になってくれると私は大変萌えですv
リンの良さは人懐っこい「弟系可愛さ」でもあると思います。
もちろん雄猫の「雄らしさからくる超漢前」も大好きですが!




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