無分類30のお題 →TYPE1
22、沸騰(アキリン)
互いに長い付き合いだからこそわかることがある。
例えば、犬の散歩の当番。
例えば、猫の餌やり。
例えば――。
アキラとリンは五年もの歳月を越してなお、気持ちは一つだ。
それが例え男同士であろうとも、世間から指を指されるであろうことも十分承知。
そんな二人にも沸点というものはある。
その日はリンが先に起きたためか、それともアキラがぐっすり寝ていたためか、どちらが悪いとは言えない。
最近のアキラのマイブームはランニング。
真冬の寒い空気の中を息を切らせて走るのはどこか楽しい。
半ば癖になっていた。
ただその時はタイミングが悪かった。
やっとリンが起きたばかりで、アキラが飲むための白湯を沸かし忘れていたのだ。
「リン、お前もランニングでもするか?その怠惰なところはどうかと思うぞ?」
「怠惰ってなに?俺がお湯沸かさなかったこととなんか関係あるわけ?」
口喧嘩ではリンの方が上手だ。
伊達に元・ペスカ・コシカのリーダーではない。
「……悪かった」
全く悪いと思っていない態度だったが、それでリンは機嫌を直したらしい。
それならそれで水を差す必要はない。
やっぱりリンは強いのだと、これからは怒らせない様にしようと心に決めた。
_______________________________
2015年 6月8日 莊野りず
アキラ→→→リンって感じですね(笑)。
きっとこのアキリンはリンが上手く主導権を握っている事でしょう。