無分類30のお題 →TYPE2

5、キングサイズ




主が帰ると、屋敷は大わらわで彼を迎えた。
「アイツは?」
「部屋の方に」
彼のことは特に信頼できる者にしか存在を明かしていない。
しかし彼を囲っているのは周知の事実だった。
無言で屋敷の奥へと歩く。
次第にスピードが上がり、彼の嬌声が聞こえる。
「またやったのか」
よくもまあ懲りもせずに。
彼の相手をしていた男は無様に逃げようとしたが、主に逆らうものに未来などない。
当然のごとく彼の命はスッパリ絶たれる。
「……おかえり」


アキラを膝上で弄びながら、まるで幼い子供に聞かせるかのようにシキは言って聞かせる。
「ここはお前が男を誘うようなところではない。俺のものだ」
アキラは必死でシキの機嫌を取ろうと彼に膝に頬を寄せる。
「……その気になれば満足するまで可愛がってやろう。さあ、どうしたい?」
今のアキラにはほとんど自分の意志というものはない。
彼の中に今あるのは他の男を誘い、その男を敢えてシキに殺させるという歪んだ遊びのことだけ。
何もわからない彼は無垢な子供同然だった。
やがてアキラは自分からシキのズボンのファスナーを下げて、その中身を美味しそうにしゃぶる。
まるで棒アイスでも舐めるかのように、ゆっくりと。
唇から覗く赤い舌が扇情的だ。
「もっとできるだろう?」
主はアキラの顎に手をやって、引き上げる。
今の二人の関係は、このキングサイズのベッドでだけの関係だ。
破綻した、破綻しているからこその、歪んでいて歪な関係。
今日も二人は快楽をお貪り合う。
時間はたっぷりある。
それまではこの愛すべき僕に犯される快感を教えてやろう。
シキは満足げに笑う。


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2015年 3月1日 莊野りず

初シキアキです。
あのアキラがイッちゃってる感じが凄くイイ。
もちろんリンルートは別物だけど。
シキはネタにしやすいのかそうでないのかはっきりしません。




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