貴方に願う10のお題 レイジナ・アベレアで攻略

2、嘘はつかないで(アベレア)


貴方の事は大体解るようになってきました。
だから、お願いです。


 「どこに行くのですか、こんな時間に」
 夜ももう遅い時刻。
アベルは翼を広げて飛び立とうとしていた。
 彼は舌打ちをして、レアに向き直った。
 「別に。ただの散歩だ」
 「嘘ですね」
レアは共苦する事でアベルの考えが読める。
アベルはバツの悪い顔をした。
 「カイン達の元にいくのでしょう」
 「それの何が悪い?」
レアは傍らにあったバトンを握り締めた。
 彼女が意外と頑固な事をアベルは最近知った。
 「わたしも行きます」
こうなったらてこでも動かない。
 今日は諦める事にした。


カインの事なら何でも解る。
なぜならアベルはカインのペインキラーだから。
その事はレアには黙っている。
 「今日の予定は?」
レアがスープを器によそいながら訊いてきた。
 「教会を襲撃して、インセストをさらう」
スープの器から湯気が上がる。
アベル好みの香りだ。
 「嘘ではないですよね?」
スープを飲みながら、アベルは鋭い目でレアを見た。
 今日は共苦していないらしい。
 「こんな事で嘘をついてどうなる」
レアも自分の分のスープに口をつけた。
 「それならわたしが一緒に行っても構いませんよね?」
 「いや。お前はここで待っていろ」
 危険だから、とは言わなかった。
 現時点ではレアはあくまでも生きるために必要な養分のようなものでしかない。
だからそれほどレアに対して執着していない。
 「お前がいると足手まといだ」


カインを追ってキボートス島までやってきた。
ここでレアはニコという子供と仲良くなった。
 相手が懐いているだけだったが、アベルは面白くなかった。
すでにアラギは亡く、暇を持て余していた。
そんな中、教団のホワイトファイスがここにやってくると聞いて彼らは動いた。
りリスという名のインセストの少女の体内から取り出したペインリングを奪ったのだ。
 後は核心受胎装置の上でカイン達を待つだけだ。


 「これで……終わるのですね」
レアは自ら手を汚す事を望んだ。
アベルに対して負い目があったのだろう。
 「ああ。カインはオレが殺す」
アベルの赤い目が更に赤くなった。
パスカのペインリングが鈍く光っていた。


カイン達に正体を明かしたアベルは勝利を確信した。
だが何か違和感がある。
おかしいと思って見つめたペインリングが外れなくなっていた。
 「逃げろ!レア!」
 叫んだときには遅かった。
アベルは自らの手でレアを刺してしまっていた。
それでも最期までレアは笑っていた。
――アベル様の気持ちがよく解りました。嘘はついてないのですよね。
レアの最期の声がアベルの中で反響した。
 彼女の望みは嘘をつかないで欲しかったのだ。
――わたし、幸せです。
 「ああ……あああっ!」
アラギにのっとられた身体では、いくらアベルでも叫ぶ事しか出来なかった。

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 2012年 12月13日 荘野りず

 レアはきっと嘘は嫌いだと思うんです。
どうしても本編沿いアベレアとなると悲恋にしかならないのが書いてて悲しいところです。



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