貴方に願う10のお題 レイジナ・アベレアで攻略

8、ずっと隣にいて(レイジナ)


オレは姉さんを愛してる。
この気持ちは何度死に、何度復活しても変わらない。


 魔王城を奪還したオレ達は、復活の間から姉さんの精神に干渉した。
そこでやっとオレは姉さんと再会した。
 目覚めた時に頭の中にあったイメージと同じ姿がそこにあった。
そして驚く事を言い出した。
 人間に愛されないから復活などしたくない、と。
だからオレは姉さんを説得した。
 本心から出た言葉をそのまま伝えた。
――愛してると。
 姉さんは躊躇いながらも、オレの手を取った。
 嬉しかった。
 姉さんの記憶は蘇っても、愛された記憶などなかったから。
 本当に嬉しかった、手に汗が滲むほどに。
それからオレ達は精神世界から帰ってきたんだ。


ディフォルニア平原での演説の後で、パージュとランガーが顔色を変えていた。
どうしたのかと訪ねるとアンジェラがいないと言う。
そういえば、フォレスターとマリアージュの姿もない。
いやな予感がする。
 姉さんの表情も暗い。
そこへこのあたりの警備をしていた仲間が傷を負いながらもオレ達の元に来た。
 彼が言うには、急にフォレスターに襲われたそうだ。
 「フォレスター、怪しいなんてもんじゃない。行くよ!」
パージュとランガーは既に臨戦態勢だ。
 研究所に着くと、オートマター達が襲い掛かってきた。
 流石にカルテットの造ったものなだけあって、苦戦した。
 姉さんの顔色は真っ青だ。
 「大丈夫か、姉さん?」
オレが訊いても何も応えてくれない。
 何か小声でぶつぶつ呟いている。
その中に『プロジェクト・マトリクス』と言う単語を聞いた。
それが何なのか解った時には、フォレスターはもう遅かった。
オレ達はアンジェラを助け出した。
そこへ大天使長メルディエズが現れて、姉さんと親しげに話し始めた。
――オレでさえも姉さんとそんな風に話した事などないというのに。
 奴はフォレスターを殺すと羽根一枚を宙に舞わせて、消えた。


それから何日か後。
 「……」
 魔王城のテラスで、姉さんは何かを考えているようだった。
 「どうしたんだ?風邪をひく」
 出来るだけ穏やかに声をかけると、姉さんは振り向いた。
 何かを決意したようだった。
 「レイジ、お願い。天界に行ってメルディエズを止めて」
オレは姉さんの目当てが何かすぐに解った。
――やはり人間か。
いつもそうだった。
 俺を見てくれたかと思えば、それは人間を見ていた。
 愛を語ったと思えば、それは人間に向けてだった。
 「……メルディエズを止めれば、人間も止まるのか?」
オレは姉さんの願いは叶えたい。
でも、オレは姉さんに愛されたい。
ずっと隣にいたのに、いつの間にか姉さんが距離をとったように感じる。
 「少なくとも人間は解放されるわ」
――じゃあオレ達は?
でもオレは姉さんが望む言葉を吐いてしまう。
 「わかった。メルディエズを止める」


ゲート前で、ようやく俺は俺を取り戻した。
そしてリィディエールを始末した。
 天界へも攻めていき、メルディエズを倒した。
それから魔界に戻り、同族を山ほど殺した。
 姉さんの隣をキープするために。
 彼女の太腿に頬を寄せ、俺は言う。
 「ずっと隣にいて。……俺だけの姉さん」
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 2012年 11月30日 荘野りず

 また暗い&ヤンデレな話になってしまった。
 最初はほのぼののつもりが……どうしてこうなった。
 以前はまったりほのぼの書けてたんですけどね。ネタ切れ?



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