悲恋系15のお題 レイジナ・アベレア中心で攻略
12、真実の欠片(アベレア)
グレイヘンの亡骸。
そこはすべての始まりの場所。
カインはアベルと対峙していた。
全ての記憶を取り戻したカインはアベルに問う。
「キミは何者なの?どうしてボクとマティアにあんな事――」
「ふん。キミはボクの兄弟?とは訊かないか。少しはマシな面になったじゃないか」
「質問に答えてよ!」
茶化すアベルに怒るカイン。
カインの仲間たちはその成り行きを見守っている。
レアはアベルの傍に控える。
「……なあ、お前は自分がアベルだったことを思い出したんだよなぁ?」
アベルはおかしそうに嗤う。
その顔には深い嫌悪がにじんでいる。
「お前はマティアを殺そうとした。それがお前の真実だ!お前は所詮そんな奴なんだよ」
強い調子でアベルが言うと、カインは閉口した。
「何よりも自分自身を嫌悪し、憎み、殺そうとしたアベルはお前自身だ。認めてしまえ、自分がマティアを殺そうとしたと」
アベルは大剣を鞘から抜いた。
レアもバトンを構える。
「オレはお前のペインキラーだ。お前が捨てたアベルがオレだ!」
アベルはパスカのペインリングを発動する。
カインもマティアから渡されたティアーを発動させる。
最後の戦いが始まった。
「くっ!」
「はあはあ……はあ」
カインの剣がアベルを押した。
接戦だったが、辛うじてカインたちが勝った。
「くそっ!なぜオレは……こんなにも弱い!」
アベルの様子がおかしい。
肩で息をしながらレアがアベルの傍に寄った。
「……!?」
気づいた時には遅かった。
アベルの剣がレアを貫いていた。
パスカのペインリングが妖しく光る。
「これは……アラギ!」
アベルはペインリングを外そうとするが外れない。
「解らないのか?この女がお前の乾いた心を満たしてるんだ」
響くアラギの声。
カインたちも異変に気付く。
「アラギ……だと?」
「死んだはずじゃ……なかったのか?」
ザイオンとエクサルも愕然とする。
アベルを名乗るペインキラーの器を取り込んだアラギがカインたちを襲った。
全てに決着がつき、アベルを模したペインキラーはその命を終えようとしていた。
「アベル様……」
もうろくに残っていないアベルの意識にレアが語り掛けてきた。
これは彼女がインセストだから出来る事。
しかもレアは重傷で、今にも消えそうな命を削っての事だった。
「しゃべるな。お前まで死ぬことはない」
「いいえ……」
ぼんやりとレアの姿が見える。
「わたしはアベル様と生きたかった。アベル様が消えるならばわたしも消えます」
孤独だったペインキラーの心を最後まで満たしてくれる。
「……オレは弱くなった。でもそれで良かったのかもな。お前とともに消えるなら悪くない」
そこでアベルは微笑む。
器を得て以来の笑みだった。
「アベル様、わたしのことをどう思っていました?カインさんのマティアさんに対するような気持ちですか?」
これだけは聞いておきたいとでも言うようにレアは意地悪く笑う。
これにはアベルもすぐには答えない。
「そうだな……ずっと一緒にいたい。これだけじゃ不満か?」
やっとレアの表情が晴れた。
真実の欠片は二人に安らかな終わりをもたらした。
グレイヘンの亡骸で手を繋ぐように横たわっていた。
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2013年 11月5日 莊野りず
最終戦の描写が難しかったです。
レイジナでは真実の欠片どころかすべての真実が明らかになるのでアベレアで挑戦しました。
最後、二人の会話長くない?というツッコミはなしでお願いします。
最後くらいツンデレだってデレて欲しい。