悲恋系15のお題 レイジナ・アベレア中心で攻略

4、ガラス越し(ランガー×パージュ+アンジェラ


堅牢なつくりの城は主の安全のためではない。
むしろ周りの者のための作りだった。


 「アンジェラ、お母さんは忙しいんだ。私と遊ぼう」
 「……」
 無言でアンジェラは愛らしい笑みを浮かべる。
ランガーは少女を肩車した。
 「悪いね。また力が増してさ」
パージュはすまなそうに言った。
 魔王ジーナローズが復活し、悪魔達に魔力が供給されるようになった。
それまで数で押されていた悪魔軍も本来の力を取り戻した。
そのままギルヴァイスの提案で天界まで攻め込んだ。
 大天使長メルディエズは消滅した。
そして魔王を囲んでのパーティを行い、ジーナローズは悪魔達にねぎらいの言葉をかけたのだった。


そして現在。
パージュの身体には魔力が満ちている。
 彼女の力を魔王城で発揮してはまずいという理由で、パージュ達はパーティを抜けて帰ってきた。
フォレスターによって埋め込まれた背徳の種のおかげでランガーは彼女に寄っても平気だ。
けれどまだ幼いアンジェラにはパージュと接触するのが難しい。
 三人はパージュの城で共に暮らすことに決めた。
 幸いアンジェラもランガーに懐いている。
パージュとしても彼をパートナーにするのに異議はない。
レイジ達も賛成してくれた。
 「アンジェラ、あたしあんたのお母さんになれるかな?」
 「……」
 言葉は喋れなくても言いたい事は解かるらしい。
アンジェラは笑顔で何度も頷いた。
 「お似合いだよパージュとランガー。アンジェラはお母さんの事が好きだよな?」
 「……」
アンジェラはにっこりと微笑む。
 「本当に愛らしいわ。いつでもこの城に来てね?待っているから」
ジーナローズも笑顔だ。
アンジェラは割と誰にでも懐くが、やはりパージュとランガーは別格らしい。
 「パージュ様、あまり親バカにならないでくださいね」
 「何とかバカはレイジ一人で十分ですから」
ヴィディアとギルヴァイスが茶化した。
 「誰が何とかバカだ!」
 「お前だよ、姉バカ」
レイジとギルヴァイスはそんな事を言い合っている。
 「ジェネラルは変わったよ。いい意味でね」
 「ボクは昔の冷たいレイジの方が好きだけどね」


そんな仲睦まじい二人も夜は別室で寝る。
ガラスで区切られた部屋だ。
パージュは寝ている時は力の制御が出来ない。
いくら背徳の種とえどもパージュ相手ではこころもとない。
パージュとランガー、そしてランガーと一緒に眠るアンジェラはガラス一枚で遮られる。
ガラス越しに見えるアンジェラの寝顔はパージュの心を暖かくしてくれるのだった。
 __________________________________
 2013年 4月25日 荘野りず

 ランガー×パージュ+アンジェラでした。
この熟年カップル結構好きです。
アンジェラを挟んで擬似親子にするのが楽しい。
レイジナはこっそりでした、シスコン=姉バカ。



inserted by FC2 system